骨粗しょう症とは
骨粗しょう症とは、骨を支えている骨梁という組織が細くなり、本数も減ってスカスカの状態になり、骨が弱くなって折れやすくなってしまう病気のことです。骨粗しょう症が進行している内は、自覚症状はありませんが、骨の強度が低下することにより、ちょっとしたことで骨折してしまい、それがもとで要介護の状態ともなりかねない、非常に注意が必要な病気です。
骨粗しょう症の主な原因は、加齢によって骨を形成するスピードより、骨を吸収するスピードが上回ってしまうことによります。人間の骨は常に破骨細胞による骨吸収と、骨芽細胞による骨形成を行い、骨の新陳代謝をおこなっていますが、このバランスが崩れることで発症してしまうのです。
現在、約10人に1人の方が骨粗しょう症と言われており、男性に比べて女性の割合が多く、80歳以上の女性では2人に1人以上が骨粗しょう症であると言われています。これは骨の新陳代謝に際して骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する女性ホルモンの一種「エストロゲン」が、閉経期に分泌量が低下することの影響とみられています。
骨粗しょう症では、こうした加齢を要因とするものの他、カルシウム不足やビタミン不足、運動不足など生活習慣が引き金となる場合もあります。近年では、男性も骨粗しょう症が増加傾向にあります。これは糖尿病や慢性腎臓病など、生活習慣病が骨粗しょう症の誘因となっていることによるとみられています。これらの場合、骨密度は正常範囲でも、カルシウムとともに骨の重要な構成要素であるコラーゲンに問題が生じるためと考えられています。
骨密度検査
骨粗しょう症は、骨の強さを判定する指標である骨密度検査を行って診断します。その他、レントゲン検査などで脊椎圧迫骨折が生じていないかどうか確認したり、血液検査や尿検査によって、骨の代謝を調べたりする場合もあります。ちなみに、25歳のころと比べて身長がどのくらい縮んだかも指標の一つになります。
骨密度検査には以下の3つがあります。
DXA(デキサ)法 | 2種類のX線を使い、主に大腿骨近位部や腰椎の骨密度を測定します。 |
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超音波法 | 踵や脛の骨に超音波を当てて測定すします。X線を用いないため、妊娠中の方でも測定可能です。 |
MD(エムディ)法 | 手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを、X線にて同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度の比較によって測定します。 |
さらに下記の条件に当てはまる場合、骨粗しょう症と診断されます。
- 脆弱性骨折のうち、「脊椎圧迫骨折」「大腿骨近位部骨折(転子部)」がある
- 脆弱性骨折のうち、「脊椎圧迫骨折」「大腿骨近位部骨折(転子部以外)」があり、YAM値が80%以下
- 脆弱骨折がないが、YAM値が70%以下
※YAM/若年成人平均値:腰椎は20~44歳、大腿骨近位部は20~29歳
治療方法
骨粗しょう症の治療としては、まず食習慣や運動習慣など生活習慣の改善による骨の強化を並行して行っていくことが大切です。骨折などがあり、早急に対応が必要な場合は、薬物療法も行っていきます。骨粗しょう症は予防できる病気でもありますので、現在まだ骨粗しょう症と診断されていない方も、食事や運動に関して、気をつけておくのがいいでしょう。
食事に関しては、カルシウムをしっかり摂っていくことが大切です。具体的には、乳製品や大豆製品、小魚などの摂取が有効です。
同時に、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多く摂るようにしましょう。ビタミンDが多く含まれる食べ物としては、サケやサンマ、ウナギ、シイタケ、卵などがあります。またビタミンDは、日光に当たることで皮膚でも作られるので、適度な日光浴も有効です。
また骨を強くする働きがあるビタミンKの摂取もお勧めします。これはホウレン草やブロッコリー、納豆などに含まれます。これら食べ物を、偏らず、バランスよく摂取していくことが大切です。
またウォーキングなどの運動は、骨に負荷をかけることで、骨を作る細胞を活性化させ、骨を強くすることができ、骨粗しょう症の予防につながります。ただし、すでに骨粗しょう症が進行している場合など、転倒等で骨折しやすい場合もありますので、医師と十分に相談の上、無理をせず、適度なものに留めるようにしましょう。
薬による治療としては、大きく分けて以下のような3つのタイプがあます。
- 骨吸収を抑制する薬
- 女性ホルモン製剤(エストロゲン)やビスフォスフォネート製剤など
- 骨の形成を促進する薬
- 活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)など
- 骨の主要な成分となる薬
- カルシウム製剤
高齢の方の場合、骨折などが引き金となって寝たきりとなったり、介護が必要となったりして、生活の質を大きく落としてしまうことがあります。そのため、骨折の原因となる骨粗しょう症の予防、治療は非常に大切です。まず一度検査をし、骨の状態をチェックすることが重要です。特に50歳以上の女性の方は、定期的に骨粗しょう症の検査をすることをお勧めします。早期に治療や予防を開始すれば、健康寿命を大きく伸ばすことができます。
- 院長
- 平野大介
・医学博士
・藤田医科大学客員講師
・日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
・日本リウマチ学会 リウマチ専門医
・臨床研修指導医
・愛知県難病指定医 - 診療内容
- 内科・リウマチ科
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